18秒11。このタイム以上の走りをすれば全国に行けたかもしれない。でも、その夢は叶わなかった。九州大会はたった1回の走行で全てが決まってしまう。言い換えれば、18秒で全てが決まった大会だった。
自分が出場してきた大会で一番シビアな大会だと思う。試走から、予選が丸一日空いてしまうし、予選走行でも普通はINとOUTの2回走行出来るのにたった1回のみ。1年間かけて製作した車。1年分の努力や技術や思いをたった18秒間に賭ける。
3分間かけてゆっくり完走したって良い。でも、上には行けない。しかも、一発勝負。車検を無事終えて、様々なコトを考える。
同じ県の車のベストタイムはどうなのか?タイヤのコンディションは?電池の電圧は?体育館の明るさは?気温は?コース上のコンディションは?PWMの値、クランクの減速の設定、加速の設定、カーブの速度・・・・・。刻一刻と変わる状況でぎりぎりまで作戦を考える。
すべては、全国大会出場枠を手に入れるために。でも、結果が教えてくれた。自分の判断が間違っていたことを。
県大会で自分より速く走って優勝した車が落ちたとき、思わずガッツポーズしてしまった。目標としていたライバルが目の前で消えた。レースに勝つことだけを考えてしまっていた。マイコンカーに取り組む素直な気持ちが薄れかかっていたのかな。
結果が全てじゃなくて、過程が大事であって完走や入賞はあくまでひとつの目標であるってことを。
でも、悔しかった。顧問の先生も言葉を失っていた。
いろんな人に、「期待してたのに」「残念だったね」「また、だめだったのぉ」「直前で改造するからだよぉ」・・・・・っていろいろ言われた。これだけの人が自分に期待してくれてて、応援してくれていたんだって考えるとホントに辛くて。
毎日のように11時頃に家に帰って、次の日の授業は寝てばっかりで。車が上手く走らないときにはすっごぃ機嫌悪くなって友達にあたったり、家族にあたったり。ホントごめん。
一体、何のために頑張って来たんだろぅ?大きな大きな目標を無くしてしまった。